「妊婦と赤ちゃんの健康に欠かせない栄養素」として、厚生労働省から推奨されている葉酸ですが、具体的にはどのような効果が期待できるのでしょうか? 葉酸が発見された時のエピソードや上手な摂り方などと併せてご紹介します。
葉酸の語源はほうれん草
葉酸が発見されたのは、今から80年以上も昔のインド。イギリスで産婦人科医として働いていたルーシー･ウィルスという女性が、インドのボンベイで多くの女性にみられた妊娠時の「巨赤芽球性貧血」について調べたことがきっかけとなりました。
最初は悪性貧血の可能性を疑っていましたが、これに適した治療では改善されず、試しにマーマイト（ビールの製造過程で抽出される酵母）を投与してみたところ、効果があることが認められたのです。
1941年になると、ほうれん草からも同じ物質が発見され「葉」「ほうれん草」という意味を持つラテン語の「folium」から「folic acid（葉酸）」という名前で呼ばれるようになりました。
葉酸の主な働き
葉酸には細胞分裂を助ける働きがあるので、胎児の体の重要な部分が作られる妊娠初期までに十分な量を摂っておくと、先天性異常を予防することができます。
また、ビタミンB12と結びついて正常な赤血球を作り、貧血を防ぐ効果も期待できます。
他には、粘膜部分の細胞分裂を助けて内臓を強化したり、動脈硬化の原因となる「ホモシステイン」の血中濃度を下げたりする効果などが有名ですね。
美容面では、細胞分裂を促すことによって新陳代謝を活発化させたり、赤血球やコラーゲンの生成を助けて美肌を作ったりするメリットが得られます。内臓の代謝が良くなるので、便秘対策としても有効ですよ!
葉酸の上手な摂り方
葉酸は水溶性ビタミンなので、その多くは体内に留まることなく尿や汗となって排出されてしまいます。そのため、こまめに補給してあげる必要があるのですが、毎日の食事から十分な量を摂るのは簡単ではありません。特に、妊娠時や授乳時は通常よりも多くの葉酸を必要とするので、どうしても不足しがちになるでしょう。
葉酸を効果的に摂取するには、市販のサプリメントを利用するのが一番簡単です。「天然」と「合成」の2種類があるので、吸収率の高い合成のものを選ぶと良いでしょう。
ただし、いくら吸収が良くても体に悪ければ意味がないので、原料にこだわることも大切。できるだけ無農薬野菜を使い、添加物の使用を極力抑えたサプリを選んでくださいね。
このように、葉酸はさまざまな働きで私たち人間の体を守ってくれています。市販のサプリも上手に使いながら、不足しないよう気を配りましょう。吸収率を高めるなら、天然よりも合成のもののほうが効果的ですよ!
