厚生労働省が推奨する葉酸

ビタミンB複合体の一つである葉酸は、妊娠にかかわる重要な成分であることが知られています。健康や美容に良いと言われる成分はたくさんありますが、葉酸のように国をあげて摂取が推奨されている成分はそれほど多くありません。

多くの人が葉酸の摂取を国が呼びかけているのを知るのは、母子手帳ではないでしょうか。妊娠初期における胎児の神経管閉鎖障害を予防する成分として、摂取が呼びかけられています。厚生労働省が葉酸の摂取を推奨しているということで大多数の成分より、効果・効能に対する信頼性が高くなっています。

一方で、厚生労働省の推奨している内容が正確に把握されておらず、誤解が生じている様子も垣間見えています。そこで、厚生労働省はどのように葉酸摂取を推奨しているのか、発表されている資料を参考にしながらご紹介したいと思います。

サプリメントからの葉酸摂取が推奨されている

厚生労働省運営のヘルスネットのよると、食品からの葉酸摂取に一定の効果があると考えられるとしながらも、口から摂った量や食品に元から含まれていた量の葉酸をそのまま体内で利用できるわけではないとし、サプリメントなどの栄養補助食品や葉酸添加食品からの葉酸摂取を勧告しています。

多くの食品に含まれている葉酸は、ポリグルタミン酸型。体内ではモノグルタミン酸型でしか利用できません。食品中に含まれ摂取されたポリグルタミン酸型葉酸が、体内でモノグルタミン酸として消化吸収されるまでの過程でその多くが失われてしまい、成体利用率は50%をきるとしています。

サプリなどに含まれる葉酸は、ほとんどが人工的に作られた合成葉酸で、体内での利用効率の良いモノグルタミン酸型であることから、合成葉酸の摂取が推奨されていると考えることができます。

サプリの中には、天然葉酸由来だから安心としているものもありますが、体内での利用効率は不明で、厚生労働省が推奨しているものと同様と考えてよいのかどうかも分かりません。

妊娠初期以外でも葉酸の摂取が大切としている

母子手帳に葉酸の必要性が記載されていることから、妊娠を経験した女性やその家族でも、妊娠の一定時期を過ぎたら葉酸は必要ないと誤解している様子が見受けられます。

しかし、厚生労働省が発表している「2015年版日本人の食事摂取基準」では、男女問わずどの年代でも葉酸摂取が必要とし、その量を定めています。最も必要なのは妊娠中であるとし、その必要量は一日あたりプテロイルモノグルタミン酸として400㎍としています。(妊娠時の摂取推奨量は480㎍です)これは一般成人男女の必要量の2倍にあたります。さらに、授乳期も通常より多くの葉酸を摂取することが推奨されています。なお、神経管閉鎖障害のリスクを軽減できるのは妊娠初期ですが、葉酸摂取量では妊娠の時期は考慮されていません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする